比叡山延暦寺の

とかげもまた剽悍だった

一瞥をくれ

すぐに身を翻して草むらに消えた

生まれながらの僧などいない

自由な思いの行く末に

仏の道に精進する一匹がいてもいい

堂宇と次の堂宇を結ぶ小径を

青い風が抜ける

風の通り道は光の通り道でもある

燃えるほどの新緑の水底に

歳月があり

摂理があり

私は石段に幸福を見つける

あなたが片手に引っかけるハンカチと

私の真心を交換しよう

あなたは塔婆に読めない漢字を見つける

あなたにあげよう帽子のつばに夢を描いて

苔むした塔婆は涸れない泉

謎を抱えて涸れない泉

風に押されて

葉は

一枚一枚がお日さまの寵を競っているようだ

もみじより

青もみじが好き

また気持ちが交錯したから

一年後の堂宇だって信じられるのだ

十年先の梵鐘だって叩きたくなるのだ