地名が

完結した短すぎる詩であることに

礼文島の青空で気がついたのだ

挑戦的だったよね

朝に見た

あの奇怪な大岩

歌い継がれて円い

数多の詩が

しかし完成していると誰に言い切れるだろう

香深の港に

鉄府の浜に

内路の分岐点に

宇遠内の商店に

キトウスの停留所に

スコトン岬に

担い手が立つのが分かる

未知の詩ひとつを口にして

私たちはまたずぶ濡れになって

轍を行く

大岩は不動

わずかにわずかに接近する私たちを見はるかし不動

桃に似ているから桃岩というならそれも良い

森を抜けて岩場を伝って

滝の水で唇を濡らして

労働なんかを話したりして

やがて夕焼けに大敗した私たちは見え

そしてもう二度とあれを大岩とは言わないだろう

ああ血潮も

たったひとつの遥かな名前をつらぬく

地図を広げて

皆で取り囲む

その間

誰かの影が地図に落ちていて