旅の終幕がいよいよだ。

苫小牧から、千歳、恵庭、北広島と走り、再びの札幌。そしてフェリーの出る小樽へと到着した。

涼しい空気も、どうしてか必ず後ろから追ってくる風も、自転車日和だ。ペダルが軽い。

「今年、雨、多かったっしょ!」

小樽のスーパーで声をかけてくれ、話をしたお爺さんが、今夏のラストパーソンになりそうだ。

いつか未来の、人類最後の男は、どうせ一人なのだからちょっと自転車で旅に出ようか、とは絶対に考えないだろう。

誰もいない世界を走っても何もない。

単独で南極を走破するような冒険家も、家族や、応援してくれる人間や、興味を持ってくれる人間との関係の中で、努力をするはずだ。つまり、誰かと共に、旅をしている。

この人と結びつきたい。心に接触したいという意思だけが、原動力だ。

心に触れる。しかしそれはとてもセンシティブで、難しいことだ。意図とは逆の結果を招く日もある。謝っても遅い。

夢やぶれて山河あり。確かに光を見た。感謝の気持ちが、それ以外の感情を駆逐してしまう。